株式の譲渡制限の規定を設けるには

株式の自由譲渡性

株式は原則として譲渡することができます。(会社法127条)

しかし、株式を自由に譲渡ができることになると、誰が株式を取得することになるか、予想がつきません。

株式を有するということは、株主総会における議決権を有するということであり、予想だにもしない人物が株式を取得し、会社内において発言権を強めることになるかもしれません。

そこで、会社法では、譲渡によって株式を取得する場合に当該会社の承認を得なければならない旨を定款で定めることができるとしています。

不特定多数から資金調達を行って事業展開している上場企業は別として、ほとんどの中小企業ではすべての株式について譲渡制限の規定を置いています。

すべての株式について譲渡制限を設けている会社を非公開会社といい、自由に譲渡できる株式を発行している会社を公開会社といいますが、非公開会社は公開会社に比べて、様々な点で法律上の義務が緩和されています。

まず、公開会社は取締役会や監査役の設置義務がありますが、非公開会社には設置義務はありません。

また、非公開会社であれば定款に定めることによって役員の任期を10年まで伸長することができますが、公開会社では取締役の任期を2年から短縮することはできても、伸長することはできません。その分、役員変更の手間が必要となります。

他にも、法律上の義務が緩和されています。

 

株式の譲渡制限の設定

では、今まで譲渡制限を設けていなかった会社が、株式に譲渡制限を設ける場合はどうしたらいいのでしょうか。

1.株主総会にて、株式の譲渡制限に関する規定を設定する定款変更を行わなければなりません。

このときの決議要件は、特別決議よりも厳しいもので、当該株主総会において議決権を行使することができる株主の半数以上であって、当該株主の議決権の3分の2以上に当たる多数をもって行わなければならないとされています。(会社法309条第3項)

今まで自由に譲渡できた株式に譲渡制限をかけるのですから、株主に不利益が生じかねません。そのため多くの株主の賛同が必要になるのです。株式に譲渡制限があるか否かの違いは、株主にとって大きな問題です。

2.株券を発行している会社においては、株券提供公告株主への各別の通知をしなければなりません。(会社法219条)

なぜなら、株券に譲渡制限がある旨を記載しなければならないからです。(会社法216条)

この株券の記載内容を変更するなどの煩わしさを回避するため、株式の譲渡制限に関する規定が発効するまでに株券を発行する旨の定款の定めを廃止してしまうことも考えられます。

なお、株券発行会社でありながら、株券の全部を発行していない会社では、公告は必要ありません。

 

3.反対株主の株式買取請求ができるよう、株主に株式の譲渡制限に関する規定を設けようとしていることを、効力発生の20日前までに通知しなければなりません。これは、公告をもって通知に代えることができます。これも株主の利益を保護するために、会社法で要求されています。

なお、この通知をしたことを証する書面は、登記申請においては不要です。

 

株式の譲渡制限に関する規定を設定する登記を申請する際は、上記の株主総会議事録株券提供公告をしたことを証する書面株主リストを加え、申請することになります。

また、株式の譲渡制限に関する規定がなかった会社では、取締役会の設置や監査役(会計監査に限定しない)が義務づけられていましたが、その義務がなくなるため、これを機会に機関を整理することも考えられます。