遺言とは

遺言とは、自己の死後における遺産の分配方法などをあらかじめ意思表示しておくことをいいます。

遺言によって、自分の希望する通りに自己の財産を相続させたり遺贈することができるようになります。(ただし、遺留分を侵害することまではできません)

また、子を認知したり、未成年の後見人を指定することも可能です。

この遺言について、皆様はどのようなイメージを持たれているでしょうか。

遺言といえば、「相続税の基礎控除額を大きく上回る財産を持っている人が相続税対策のためにするものであって自分とは関係ない」と思われている方もあるかもしれません。

実際、日本では遺言をして亡くなられる方は10人に1人程度といわれています。

しかし、遺言をすることによって得られる効果は税金対策だけではありません。残された家族の生活の安定を図ること相続人間の争いを防ぐことができるため遺言はとても有用なのです。

昨今、相続法が改正され、以前に比べて遺言を残すことへのハードルが低くなりつつあります。

皆様も遺言を残すことをご検討されてはいかがでしょうか。

当事務所では、皆様が遺言を作成されるサポートをしております。まずは、ご相談ください。

遺言の効果を具体的に見てみましょう

事例1  子供がない夫婦の場合

・夫(70歳)、妻(71歳)、子供はいない。

・夫は3人兄弟の長男で、二男と三男は元気である。

・夫の財産は、自宅不動産(時価1600万円)と預金500万円のみ。

このような状態で、夫が遺言を残さないまま先に亡くなったらどうなるでしょうか。

この場合、妻の法定相続分は4分の3、兄弟たちは4分の1です。

法定相続分はそうであっても、夫の兄弟たちが相続放棄をしたり自身の相続分の承継を求めないというのであれば、別段、悩む必要はありません。妻が夫の遺産をすべて承継すればいいだけです。

しかし、兄弟たちが自分の相続分の取得を主張した場合、状況はにわかに異なってきます。どのように遺産を分割するかは非常に悩ましいところです。

自宅不動産を夫の兄弟たちと共有することは現実問題難しいでしょうから、自宅不動産を妻が承継し、預金は兄弟たちが承継することにしたとしましょう。それでは妻の手元に現預金が残らないため妻の生活は不安定になります。

一方、自宅不動産を売却して売却代金の一部を兄弟たちに分け与え、妻の手元に現金を残すことも考えられます。そうすると現金は残るものの、71歳の妻にとって自宅を失うことは辛いに違いありません。

しかし、ここで夫が「自分の財産をすべて妻に相続させる」との遺言をしていたらどうでしょうか。

そうすれば、妻は夫の相続財産の全てを承継することができます。また、兄弟姉妹には遺留分請求権がないため、それに対して何ら文句を言うことはできません。

このように、夫が遺言を残すことによって妻の生活の安定を図ることができます。

事例2 事業の承継の場合

父71歳  従業員7人ほどの会社経営妻は先に死亡。

息子(兄) 父と同居、父の会社を手伝っている。

息子(弟) 県外に就職

・父の財産は、自社の株式(1000万円)と自宅不動産(1500万円)と預金800万円

・会社の所有する建物は、自宅不動産(土地)を敷地としています。

兄は2年前に自宅に戻って、父の会社を手伝っています。父は、兄に会社を継がせたいと思っており、兄自身もそのつもりでいます。

それに対し、弟は県外の会社に就職し、マイホームも購入し、住み続けるつもりでいます。

さて、このようなケースで父が亡くなった場合、どのように遺産を分割するとよいでしょうか。

兄と弟の相続分は2分の1ずつとなります。

もし、遺言によって遺産分割方法を指定していなければトラブルが発生しそうですね。

まず、会社の経営に参加しない弟が株式を承継することは会社の運営上不都合が生じるかもしれません。

また、会社の所有する建物が存在する自宅不動産を弟が承継すると、会社の経営基盤が揺らぐともいえましょう。

そして、会社が銀行から運転資金の借入を行うときに不動産に担保設定することを考えても、不動産の所有者は兄一人としておく必要があると思われます。

会社の経営を兄が引き継ぐかぎり、自社の株式と自宅不動産を兄が承継する方が望ましいです。

父が、「自分の興した会社を兄に引継がせたい」「従業員に迷惑をかけたくない」と強く思うのであれば、会社の経営に関するそれらの財産を兄に相続させるという遺言を残すことにより、その願いを実現しやすくなります。

この事例では、以上のような遺言があったとしても、弟には相続財産の4分の1に相当する金銭を請求できる遺留分請求権がありますので、弟からの請求があれば兄はその相当額を満たすまでの金銭を弟に支払う必要があります。

遺言の仕方

遺言は、法律の定める方式に従って作成しなければなりません。

せっかく遺言を残しても、法律の定める通りの方法によらないためその遺言が無効になることもあります。

その場合、遺言はなかったものとして遺産分割等により遺産の承継が行われることになります。

遺言の方式には➀自筆証書と➁公正証書があります。

➀自筆証書遺言
遺言者が自分で書いた遺言です。最も簡単に作成できる反面、専門家がチェックしたものでないため、方式を満たさず無効になるということもあるようです。また、各自が保管しておくため見つかりにくいという難点もあります。

この自筆証書遺言の方式は「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」とされています。自書が必要とされており、ワープロ文書では無効となってしまいます。

ただし、平成31年1月13日に自筆証書遺言の財産目録に限っては自筆によらなくてよい(代筆、ワープロ文書、登記事項証明書等)との改正法が施行されました。施行日以降に作成された遺言書にのみ適用されます。つまり、施行日後に遺言者が亡くなったとしても、施行日前に作成された遺言の財産目録がワープロ文書である場合、その遺言は無効となります。

また、自筆証書遺言の場合、遺言者の死後に家庭裁判所において検認を受けなければなりません。検認手続きを経なければ、不動産の名義変更などの手続に進めないため、手間がかかります。

➁公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証人が作成する公正証書によって遺言を作成することです。

この場合、公証人という法律の専門家が関与して遺言書が作成されることになりますので、方式違反により無効になるようなことはありません。また、遺言が公証役場に保管されますので、どこにあるのか分からなくなるようなこともないでしょうし、改竄される危険性もありません。

公正証書遺言は、遺言の作成時に公証人の手数料がかかりますが、検認手続が不要であるため、遺言の執行がスムーズに進むところが利点です。

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