目次

  1. 遺言とは
  2. 遺言の効果について考えてみよう(事例1.子のいない夫婦の場合)
  3. 遺留分とは
  4. 遺言の効果について考えてみよう(事例2.事業の承継を含む場合)
  5. 遺言の方式

遺言とは

遺言とは、自己の遺産の分配方法等について生前に意思表示しておくことをいい、これにより自分の希望通りに遺産を相続させたり遺贈することができるようになります。

この遺言について皆様はどのようなイメージを持たれているでしょうか。

実際に、財産を多く持っている人が相続税対策のためにするものであって自分とは関係ないと思われている方が多いように思われます。

しかし、遺言によって得られる効果は税金対策だけではありません。残された家族や大切な人の生活の安定を図ることや相続人間の争いを防ぐこともできるのです。

昨今、相続法が改正され、以前に比べて遺言を残すことへのハードルが低くなりつつあります。

これを機に、皆様も遺言を残すことをご検討されてはいかがでしょうか。

当事務所では、皆様が遺言書を作成されるサポートをしております。

遺言の効果について考えてみよう(事例1)

子供がない夫婦の場合

・40年間、連れ添った夫(70歳)と妻(71歳)。子供はいない。

・夫は3人兄弟の長男で、二男と三男は元気である。

・夫の財産は、自宅不動産(時価1500万円)と預金500万円のみ。

このような状態で、夫が遺言を残さないまま先に亡くなったらどうなるでしょうか。

この場合、妻の法定相続分は4分の3、兄弟たちは4分の1です。

相続分はこのように法定されていますが、夫の兄弟たちが自身の相続分相当の財産を求めないというのであれば、別段、悩む必要はありません。

妻が夫の遺産をすべて承継すればよいということになります。

ところが、兄弟たちが自分の相続分相当の財産の取得を主張した場合、状況はにわかに異なってきます。

この場合、どのように遺産を分割するかは非常に悩ましい問題です。

自宅を夫の兄弟たちと共有することは現実問題難しいでしょうから、自宅不動産を妻が承継し、預金は兄弟たちが承継することにしたとしましょう。

妻は、居住用不動産を確保できましたが、手元に現預金が残らないため、生活は不安定にならざるをえません。

一方、自宅を売却して売却代金の一部を兄弟たちに分け与え、妻の手元に現金を残す遺産分割方法も考えられます。

そうすると現金は残るものの、71歳の妻にとって自宅を失うことは辛いに違いありません。

しかし、ここで夫が「自分の財産をすべて妻に相続させる」との遺言をのこしていたらどうでしょうか。

そうすれば、妻は夫の相続財産の全てを承継することができます。また、兄弟姉妹には遺留分権がないため、それに対して何ら文句を言うことはできません。

このように、夫が遺言を残すことによって妻の生活の安定を図ることができます。

遺留分とは

遺留分という言葉が出てきましたが、遺言をするうえで遺留分について踏まえておくことは大切です。

遺留分といいますのは、兄弟姉妹を除く法定相続人について最低限保証されている相続財産の承継割合をいいます。

たとえば、妻と幼い子供を残して死んだ夫があったとします。その妻が夫の遺言書を発見し読んでみたところ、すべての財産を赤の他人に遺贈すると書いてあったらどう思うでしょうか。大変なショックを受けるに違いありません。

遺産をどのように処分するかは故人の遺志ではあるものの、少なくとも被相続人の死後における配偶者や子の生活費は遺産によって確保する必要があると思われます。

そこで、兄弟姉妹を除く相続人については、相続財産の一定割合について承継する権利が定められています。

この遺留分については、次のように定められています。

民法1042条
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次条第一項に規定する遺留分を算定するための財産の価額に、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合を乗じた額を受ける。
1 直系尊属のみが相続人である場合 3分の1
2 前号に掲げる場合以外の場合 2分の1

直系尊属(父母や祖父母)のみが相続人になる場合を除いては、2分の1になります。

具体的に、相続人が配偶者と子2人(A、B)の場合を例に考えてみたいと思います。

配偶者 相続分(2分の1)×(2分の1)=4分の1
子A  相続分(4分の1)×(2分の1)=8分の1
子B  相続分(4分の1)×(2分の1)=8分の1

配偶者ならば、財産の価額×1/4 ということになります。

※ここでいう財産の価額とは、正確には次の式で算出されます。

遺留分を算定するための相続財産の価額

=(相続開始時の遺産の総額)+(相続開始前の1年間にした贈与財産の価額)-(負債の総額)

となっています。

この式の中では、「相続開始前の1年間にした贈与の価額」が遺留分算定のための財産の価額に含まれることになっていますが、被相続人がした相続人に対する贈与においては、相続開始前の10年間にした贈与までが遺留分算定のための財産の中に含まれると定められています。(但し、婚姻若しくは養子縁組のため又は生活の資本として受けた贈与に限る)

この遺留分を考慮せずに遺言をしてしまうと、遺留分を侵害された相続人が遺留分を侵害した相続人に金銭の請求をし、紛争を生じるおそれがあります。そのようなことにならないためにも、遺言書を作成する際は、少なくとも遺留分のことだけは注意を払いたいものです。

次の事例2は、この遺留分が問題になる事例です。

遺言の効果について考えてみよう(事例2)

事業の承継の場合

父71歳  従業員7人ほどの会社経営妻は先に死亡。

息子(兄) 父と同居、父の会社を手伝っている。

息子(弟) 県外に就職

・父の財産は、自社の株式(1000万円)と自宅不動産(1500万円)と預金800万円

・会社の所有する建物は、自宅不動産(土地)を敷地としています。

兄は2年前に自宅に戻って、父の会社を手伝っています。父は、兄に会社を継がせたいと思っており、兄自身もそのつもりでいます。

それに対し、弟は県外の会社に就職し、すでにマイホームを購入し、地元に帰る予定はありません。

さて、このようなケースで父が亡くなった場合、どのように遺産を分割するとよいでしょうか。

兄と弟の相続分は2分の1ずつとなります。

もし、遺言によって遺産分割方法を指定していなければトラブルが発生しそうです。

まず、会社の経営に参加しない弟が株式を承継することは会社の運営上不都合が生じるかもしれません。

また、会社の所有する建物が存在する自宅不動産を弟が承継すると、会社の経営基盤が揺らぐともいえましょう。

そして、会社が銀行から運転資金の借入を行うために不動産を担保に入れていることを考えても、不動産の所有者はやがて代表取締役となる兄にしておく必要があると思われます。

会社の経営を兄が引き継ぐかぎり、自社の株式と自宅不動産を兄が承継する方が望ましいです。

この事例では、弟には相続財産の4分の1に相当する金銭を請求できる権利(遺留分請求権)があるため、父が「株式と不動産を兄に相続させる」という遺言をしたい場合、「弟には預金のすべてを相続させる」という遺言を遺すか、生前に別の方策を準備しておくことにより、円満な相続が実現しやすくなると思われます。

遺言の方法

遺言は、法律の定める方式に従って作成しなければなりません。

せっかく遺言を残しても、法律の定める通りの方法によらないためその遺言が無効になることもあります。

その場合、遺言はなかったものとして遺産分割等により遺産の承継が行われることになります。

遺言の方式には、おもに➀自筆証書遺言と➁公正証書遺言があります。

➀自筆証書遺言
遺言者が自分で書いた遺言です。最も簡単に作成できる反面、専門家がチェックしたものでないため、方式を満たさず無効になるということもあるようです。また、各自が保管しておくため見つかりにくいという難点もあります。

この自筆証書遺言の方式は「遺言者が、その全文、日付及び氏名を自書し、これに印を押さなければならない。」とされています。自書が必要とされており、ワープロ文書では無効となってしまいます。

ただし、平成31年1月13日に自筆証書遺言の財産目録に限っては自筆によらなくてよい(代筆、ワープロ文書、登記事項証明書等)との改正法が施行されました。施行日以降に作成された遺言書にのみ適用されます。つまり、施行日後に遺言者が亡くなったとしても、施行日前に作成された遺言の財産目録がワープロ文書である場合、その遺言は無効となります。

また、自筆証書遺言の場合、遺言者の死後に家庭裁判所において検認を受けなければなりません。検認手続きには、相続人全員を特定するための戸籍謄本類を収集しなければらないという手間も必要ですし、家庭裁判所に申立て1か月半程の期間がかかります。

検認手続きを経なければ預金の相続手続きや不動産の名義変更などの手続に進めないため、手続き完了までに予想以上の時間がかかります。それが、葬儀の費用などの出費がかさむ相続人の負担になりかねないという問題もあります。

➁公正証書遺言
公正証書遺言とは、遺言者が公証人に遺言内容を伝えることによって、公証人によって作成される遺言です。

もちろん、公証人の手数料などがかかりますが、公証人という法律の専門家が関与して遺言書が作成されることになりますので、方式違反により無効になるようなことはありません。また、遺言が公証役場に保管されますので、どこにあるのか分からなくなるようなこともないでしょうし、改竄される危険性もありません。

公正証書遺言は、自筆証書遺言と異なり、検認手続が不要であるため、遺言者の死亡後に速やかに遺言の執行に入れるところが利点です。また、相続人全員を特定するための戸籍謄本類を収集する必要ありません。

当事務所では、ご相談者様の遺言の作成のサポートをしております。

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