会社の解散から清算結了まで

会社の解散

会社の解散原因には、「破産手続開始決定」、「合併」、「株主総会の決議」等がありますが、ここでは「株主総会の決議」により会社を解散させる場合を考えてみたいと思います。

「支払不能に陥っているわけではないが業績が悪化している」、「事業承継の断念」等の理由があって、自主的に会社を解散させる場合です。

これには、まず経営者等の決断は必要でしょうが、それだけで解散の法的効力が発生するものではありません。株式会社において解散するには株主総会を開催し株主の承認を得ることが要件となります。その決議は特別決議とされており、株主の議決権の過半数を有する株主が出席し、出席した当該株主の議決権の3分の2以上にあたる多数をもって決議される必要があります。

総会の決議により解散した株式会社は、以後、清算株式会社となり清算手続きへと入っていきます。

なお、株主総会の決議(解散の効力が発生)から2週間以内に解散の登記をしなければなりません。

解散後の清算手続き

清算会社の清算手続きは、現務の結了のほかに、会社の資産を換価(不動産の売却や売掛金の回収など)し、それらを債権者への弁済に充て、残りの財産を株主に配分し、最終的に貸借対照表の各部を0の状態にするまで行います。

この清算事務を行う人を清算人といい、清算会社は少なくとも1人以上の清算人を置かなければならないとされています。清算人を置くといいましても、通常は、従前の取締役がそのまま清算人になります。

また解散前に監査役であった者は、解散に際し監査役を置く旨の定款の定めを廃止するか、監査役の監査の範囲を会計に関するものに限定する定款の定めを廃止しない限り、清算会社においても継続して監査役に就くことになります。

債務の弁済

清算人は、会社財産を現金化し、各債権者に対して債務の弁済をしていくことになりますが、どのような手順で弁済していけばよいのでしょうか。

まず、債権者に対して一定の期間内に債権を申し出るべき旨を官報に公告するとともに、知れている債権者には各別にこれを催告しなければならないとされています。この公告の期間は2か月を下ることができないと法定されているため、清算の期間は少なくとも2か月はかかるということです。

官報公告は、次のような内容になります。

「当社は、令和2年5月20日開催の株主総会決議により解散しましたので、当社に債権を有する方は、本公告掲載の翌日から2か月以内にお申し出ください。なお、右期間内にお申し出がないときは清算から除斥します。」

やがて、申出期間の経過が経過した後に、知れている債権者や申出のあった債権者に弁済をしていきます。(=申出期間の経過した後でなければ弁済できない。)

しかし、このように債権申立期間中は債務の弁済ができないとなると、会社は債務不履行による責任を負わなければならないことになってしまいます。そこで、一定の債務については、裁判所の許可を得ることにより、その弁済をすることができるとされています。(債務弁済許可の申立て)

なお、清算株式会社において、債務超過の疑いが生じたときは清算人は裁判所に特別清算開始の申立てをしなければなりません。また、清算株式会社が支払不能または債務超過にあるときは、破産手続開始の申立てをすることになります。

残余財産の株主への分配

債権者に対する債務の弁済が終れば、次に株主に対し残余財産の分配をすることになります。(債権者への弁済がすべて完了した後でなければ、株主への残余財産の分配はできません)

分配方法は、原則として、各株主の保有している株式数に応じて残余財産を分配していくことになります。株主には金銭で分配するだけでなく、不動産の形で財産を分配することもあります。

清算結了

株主への残余財産の分配が完了すると、清算人は決算報告を作成し、その決算報告は株主の承認を受ける必要があります。この承認により清算事務は結了します。

この清算結了より2週間以内に清算結了の登記を申請しなければなりません。

解散や清算結了の登記については当事務所にご相談ください。

当会社にご依頼頂いた場合の料金の目安

項目司法書士報酬登録免許税などの実費
解散、清算人就任の登記 25,000円39,000円
清算結了の登記 15,000円 2,000円
株主総会議事録の作成  5,000円 ~     0円
官報公告 10,000円40,000円程度

※上記の他に、郵送料や交通費がかかる場合があります。また、同時に他の登記申請をする場合は、その分の料金が加算されます。

※解散や清算結了に伴い税務申告をしなければなりません。必要に応じ、税理士を紹介いたします。

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