募集株式の発行

募集株式の発行とは
募集株式の発行とは、株式会社が資本の増強(増資)を目的として、新株を発行することをいいます。

新株を発行するといいましても、株式を引き受ける人は誰でもいいという経営者は多くないでしょう。株式を引き受けるということは、株主総会における発言権を有するということですから、注意しなければなりません。

たいていは、既存株主の特定の縁故者が株式を引き受ける場合が多いと思われます。

では、具体的に、非公開会社が特定の縁故者(社長の親族や友好関係にある取引先企業)に対し、出資と募集株式の引受けをお願いして、その縁故者が金銭のみにより出資を行う場合にどのような手続きで行うか、みてみたいと思います。

 

募集株式発行までの手順

 

1.株主総会で募集事項の決定をする。(特別決議)
(株主総会の決議により、募集事項の決定を取締役会に委任することもできる。)

決定すべき募集事項は以下の➀から➃の4項目です。
➀募集株式の数
※もちろん株式発行後の発行済み株式総数が発行可能株式総数を超えてはなりません。また、新株予約権を発行している会社は、すでに行使期間に至っている新株予約権の行使により発行が見込まれる株式数も発行済み株式総数に加え、その数が発行可能株式総数を超えないようにしなければなりません。もし、その数を超えてしまうようであれば、発行可能株式総数の増加変更の決議も必要となります。

➁1株と引き換えに払込む金額

➂募集株式と引換えにする金銭の払込みの期日又はその期間

➃株式を発行するときは、増加する資本金及び資本準備金に関する事項
※払込まれた金額のうち、2分の1を超えない部分については、資本準備金に充当することができ、その額を定めなければなりません。

 

2.会社は、株式の引受けを申し込もうとする人に上記の募集事項を通知する。

 

3.株式の引受の申込人が、株式の引受けの申込書を会社に提出する。

 

4.発行する株式の割当てを決定する決議を行う。
※取締役会を設置している会社では取締役会で割当てを決定し、取締役会設置していない会社では株主総会で割当てを決定します。
※割当てを決定する機関について定款で別段の定めを置くことも可能です。募集事項を決定する機関と割当てを行う機関とを一致させておくと、募集事項を決定する際に、引受けの申込を条件として割当てる旨を決議できるため、二度手間をしなくて済みます。

 

5.割当てた旨を、株式引受けの申込者に通知する。
※通知は、払込期日の前日又は払込期間の初日の前日までにしなければなりません。

 

6.出資の履行
※引受人は、会社の指定する口座に、払込金額の全額を払い込みます。

 

7.変更登記の申請
※発行済み株式の総数と資本金の額に変更が生じますので、払込期日または払込期間の末日から2週間以内に登記申請をします。なお、自己株式の処分のみを行った場合は、発行済株式総数も資本金の額も変動しませんので、登記不要となります。

※資本金の増加額は、次のようになります。(自己株式の処分も同時に行う場合)
増加する資本金額 =(払込金額×新株発行の割合-自己株式処分差損)× 資本金に充当する割合

そして、募集株式の発行による登記申請の添付書類は次のようになります。

・株主総会議事録(募集事項の決定、割当ての決定)
・引受の申込を証する書面
・払込があったことを証する書面
・資本金の額が会社法及び計算規則の規定に従って計上されたことを証する書面

なお、上記は金銭出資の場合のみを記載しましたが、現物出資(土地や車など)がある場合は、別途、必要な書類が出てきます。

 

詳しい手続きに関しては、ご相談ください。

 

 

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